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台風被害に思う

台風19号 被害甚大【決壊】21河川24か所【越水】のべ142河川に(NHK)
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20191013/k10012128651000.html?utm_int=all_side_ranking-access_003
長野県 千曲川が決壊 広範囲で大規模浸水
台風19号による大雨で長野県内を流れる千曲川が決壊しました。また多くの場所で氾濫し、長野市や千曲市など流域の広い範囲で大規模な浸水被害が発生しています。国土交通省北陸地方整備局千曲川河川事務所によりますと、長野県内を流れる「千曲川」では長野市の穂保地区でおよそ70メートルにわたって堤防が決壊しました。
《千曲川決壊の被災地 水が引くまでに2週間か》
台風19号で、長野市の千曲川で堤防が決壊していまも住宅などが水につかっている地区について、長野市は水が完全に引くまで少なくとも2週間程度はかかるという見通しを示しました。

台風19号被害、35人死亡、18人不明 相模原で車転落し母娘死亡、父子不明
(毎日新聞)
https://news.yahoo.co.jp/pickup/6339475
台風19号が12日夜から13日未明にかけて東日本を通過し、広範囲で大雨に見舞われた。河川の堤防が決壊し、土砂災害も発生した。毎日新聞の集計では、14日午前0時現在、10県で35人が死亡、6県で18人が行方不明となっている。川からあふれた水で住宅などが浸水し、孤立しているケースもある。自衛隊や消防、警察などが懸命の救出作業を進めている。水が引いていない場所があり、被害の全容は分かっていない。

【藤井聡】長野県での堤防決壊。これは単なる自然の猛威ではなく、人間(政府)の不作為のせいではないのか?
https://www.facebook.com/Prof.Satoshi.FUJII/posts/2054276854673247
台風19号の「爪痕」はこれから明らかになっていくことと思いますが・・・「高潮」の次に恐れていた「堤防決壊」が起こり、多くの家屋が被災してしまった、という報道がいくつかなされています。
それぞれの現場で、これまできちんとした治水事業が行われてきたのか、とりわけ昨年行った「緊急インフラ点検」の結果、どういう風に評価され、どういう対策が行われていたのか、それともいなかったのか・・・そうした検証を、徹底的に進める必要があります。
そうでなければ、こうした被害が繰り返されることになるからです。
台風襲来は防げません。しかし、被害は人の力で食い止められるのです。

先月の台風15号では、50メートルを超える強風で、千葉県内で高圧鉄塔を含む約2000本の電柱が倒壊・損傷し、停電とその影響による断水、通信遮断が続きました。また、住家などへの被害も多数(3万棟を超えるとされています)発生しています。

【三橋貴明】電力は生命維持装置
https://38news.jp/economy/14760
電力は国家であり、日常であり、そして生命維持装置なのです。
(中略)エネルギー自給率一桁の国において、非合理的・非科学的に原子力発電所を 停止し、「ビジネス」に貢献し、国民のエネルギー安全保障を破壊する電力自由化、発送電分離を礼賛し、電線地中化、無電柱化は「カネ」を理由に推進せず、電力会社が送電網のメンテナンス費用を削らざるを得ない状況に追い込み、電気関連の人材育成もせず、非常事態に備えた電力業と土木・建設業の連携訓練もせず、いざ大停電が発生すると、政治家や国民が「現場」で苦労する電力関係者に責任を押し付ける。
違います。
日本のエネルギー安全保障がここまで弱体化したのは、我々のせいであり、政治家のせいであり、電力会社や「現場」の責任ではありません。(後略)

もういい加減に目を覚ましませんか?!

まず事実を正しく知りましょう。事実を曲解する政治家、マスコミ(付和雷同しているタレント、コメンテーターも)、学者(特に経済学者)を批判できるだけの知識を持ちましょう。
国民同士でいがみ合うのはやめましょう。日本は、いざというとき同じ国民が助け合わなくてはいけない「災害国家」なのですから。公務員を叩いて人員を減らし給料を下げておいて、被災地に来るのが遅いとかよく言えますね。

再び三橋氏のブログ(2019/10/14)から。
https://ameblo.jp/takaakimitsuhashi/
当時の民主党政権は、本当に頭がおかしく、「日本国民を危険にさらす公共投資削減」を堂々と、それこそ「事業仕分け」といったTVショーに仕立て上げ、推進しました。
その後、第二次安倍政権が発足したわけですが、安倍政権は民主党よりも賢く、「黙ったまま」公共事業支出を削減しています。民主党のように、ショーに仕立て上げるのではなく、淡々と支出を削っていっているのです。

国の、政府の、政治家の使命は、国民を守ることではないのですか?
規制緩和や構造改革を妄信した誤りは、認めて正すべきではないですか?
緊縮財政によって国民が死んでいたら、何としても軌道修正すべきではないですか?

この程度のことができない(理解できない)政治家は要りません。

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令和の苦言愚言(8)【読書ノート】経路依存性を打破せよ

中野剛志・著「全国民が読んだら歴史が変わる 奇跡の経済教室【戦略編】」

「目からウロコが落ちる 奇跡の経済教室【基礎知識編】」に続く【戦略編】を(ようやく)読了しました。
(ようやく)と書きましたが、読み始めるのが遅かっただけで読み始めたら一気読み。
本当に日本のことを考えているんだな、という本です。
平成の時代に継続したデフレを脱却し、本当の景気回復を実現するための具体的な提案を分かりやすく解説してくれています。
右も左もない。国民主権・民主主義を破壊するグローバリズム至上主義と決別する、一部のレントシーカーたちと勘違いエリートたちによる誤った構造改革・財政再建信仰を打ち破る、そのために何をしなければならないかを、なぜそのような状況になってしまっているのかを解説しつつ、提案をする書籍です。

三橋貴明氏がわかりやすく国民経済の五原則を示しています。(→は私の感想というか理解)
◆国民経済において、最も重要なのは「需要を満たす供給能力」である。
→安全という需要を満たす供給能力(建設・電力・農業・科学技術・公務員などなど)が削られていませんか?
◆国民経済において、貨幣は使っても消えない。誰かの支出は、誰かの所得である。
→政府の支出は国民の収入です。極論を言えば政府の無駄遣いは国民が濡れ手に粟です(笑)。
◆国民経済において、誰かの金融資産は必ず誰かの金融負債である。
→×国の借金、○政府の負債、◎政府以外の経済主体の資産です。
◆国民経済において、誰かの黒字は必ず誰かの赤字である。
→デフレの時、政府が赤字を拡大しない限り国民の黒字は増えません。
◆現代世界において、国家が発行する貨幣の裏づけは「供給能力」である。
→国債発行残高は単なる貨幣の発行量です。貨幣発行量が増えるということは供給能力が増えているということ。減らされてたまるか?!

全国民が読んだら歴史が変わる、ではなく全国民が読んだら「未来」が変わる!

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令和の苦言愚言(7)【読書ノート】これはやっかい

しばらくぶりの【読書ノート】です。本を読んでいなかったわけではなく、記事を書く暇が・・・と言い訳をして。
今回取り上げるのは毎月定期購読している「表現者クライテリオン」の9月号。
特集はふたつ。「MMTと日本」そして「第二次世界大戦とは何だったのか」。

まず第一の特集。現在の日本がデフレを脱却して、国民の安心して豊かな暮らしを実現するためには、緊縮財政に代表される「いわゆる」主流派経済学の間違いを正すMMT理論の正しい理解が必要だ、ということは理解していましたが・・・。

柴山桂太氏の「国家が貨幣を作る」。
MMTは、4千年にわたって信じられてきた「税は国家が支出するため(国家を運営するため)に必要だ」という間違った常識を根底から覆してしまう。しかしながら人類はまだ租税国家に代わる新たな物語を生み出せないでいる。

ひょっとしたらどう見ても正しいMMTへの拒否反応は、ここにあるのかもしれない、つまり経済を国民の手に取り戻すために国(政府や国会)が積極的な財政政策によってコントロールすると言いながら、実は国家の存在を根底から覆しかねないところにあるのかもしれない、そう考えさせられた論考でした。

ふたつ目の特集はこれから読みます。

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令和の苦言愚言(6)【読書ノート】デフレの中でインフレ対策を叫ぶ愚

Facebookで4月28日に取り上げましたが、改めてこちらの【読書ノート】でも。
「奇跡の経済教室 【基礎知識編】」中野剛志・著、KKベストセラー

本著では、まず、デフレとインフレとは逆の現象だから、その対応も逆になるという至極当たり前の指摘をしています。
構造改革、グローバリズム、小さな政府、移民政策、緊縮財政、増税はインフレ時にこれを抑えるための対策なのに、デフレの今。それをやろうとしている。まさに「デフレの中でインフレ対策を叫ぶ」だと解説してくれます。そのような政策が、結果(データ)から、失敗であることは明らかなのに、同じ過ちを繰り返し、国民を不幸にしてきたのです。

今こそ、デフレ対策が必要であることに国民が目覚めて、政治家が本来の使命を果たすことが大事だと思います。だからあえて「財政赤字の拡大」をしなくてはいけないということです。
個人的には、ハイパーインフレになれるものならなってみろ、通貨の信認をなくせるものならなくしてみろ、と極論を言いたくなります。(なるはずないけど)

それもこれも、私たちがこれまで信じてきた(信じさせられてきた)貨幣感が間違っているということに原因しています。
貨幣=現金(紙幣、硬貨)と考えがちですが、それが実は違うんだという話。
日銀が現金紙幣(これも実は日銀の借用証書)を印刷して市中に解き放つよりも多く、貨幣は誰かが借入することで生まれる銀行預金の方がはるかに多いのです。
そうやって何もないところから生まれた預金で支払いをすると、貨幣が世の中で回り始めることになります。国債も同じです。国債を発行し、それを担保にして得た日銀当座預金で政府が支払いをすると、最終的には個人や企業の預金が増えことになります。

前に取り上げたMMT(現代貨幣理論)は政治的意図はない、単なる事実を説明した理論であるとのこと(三橋貴明氏、以下もそう)。
①自国通貨建ての国債は、デフォルトしない(デフォルトするのは外貨建て国債のケースだけ)から政府は財源の心配をする必要はない。
②国債を発行して国民を幸せにする財政出動の制約となるのは供給能力だけ(それ顧みずに政府が支出を続ければ極端なインフレになるので、そこにコントロールが必要)
③政府の支出(負債)は民間の収入(資産)であり、国債発行により民間に預金が生まれる。

これらから導かれるのは、金融緩和以外の様々な政策(やってこなかったことも含めて)すべて逆のことをやればいい、ということになります。

Facebookにも書きましたが、主流派経済学に毒された人たち、毒された主流派経済学者からご説明を受けた政治家・官僚たちは見向きもしないでしょうから、経済学を学んでいる人、これから経済学を学ぼうとする人、そして経済学とは縁遠かった(私のような)有権者に読んでもらいたいと思います。

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令和の苦言愚言(5)政府が国債を発行すると、家計の預金が増える!

5月の月例朝礼でこんな話をしました。
ネタ元は、以前取り上げたMMTの解説や三橋貴明氏のブログ動画なのですが、いわゆる主流派経済学者のご高説と比べても、どうみてもこちらの方が正しいとしか思えません。
下の図は三橋さんの作ったものです(著作権を主張しないというので使わせてもらいました)。

①政府が国債を発行して政府の日銀当座預金として、②民間からモノやサービスを購入し政府小切手で支払うと、③政府小切手を受け取った会社はその政府小切手を銀行に持ち込んで銀行預金口座に入金(記帳)してもらい、④政府小切手を受け取った銀行はそれを日銀に持ち込んで日銀当座預金としてもらう、その一方、③で銀行預金を増やした会社は、⑤その預金で従業員の給与を支払う(そのほか、下請代金や材料費の支払いなどにも充てる)。ついでに、銀行は④でもらった日銀当座預金でまた国債を引き受ける(①に戻る)。
・・・というわけです。

現在では、当社のように国(公共事業者)から業務委託を受けている際の支払いは、小切手ではなく政府の日銀口座(?)からの直接振込になっていますが、結果は同じこと。

「政府の支出(負債)は国民の預金(資産)を増やす。」

「政府は国債発行で国民の預金を借りている。いまは国民の預金が十分にあるが、国民が預金を取り崩すと、瞬時に借りるおカネが無くなり破綻する。」と言っているヒトがいるようですが、全く逆ということがわかります。
つまり、どんなに国債を発行しても、結果は国民(決して個人だけという話ではなく、広く民間という意味)の預金が増えていくので、逆転することはあり得ないということになります。
だから、(極端なインフレにならない限り)どんどん財政出動していいことになります。

「お前たちは公共事業を増やしてほしくて言っているんじゃないのか?」という反論も聞こえてきそうですが、お答えしましょう。
「その通りです!!!」(感嘆符三つ)。
実は先月から関東各県を回ってあいさつをする機会があり、平成という時代を振り返って、いかに「災害が多発し」「経済が停滞した」時代であったかというお話をしています。特に前者の災害については、平成30年間の主な自然災害でどれだけの国民の生命が失われたのかを足し合わせてみたら、なんと2万6千人以上(阪神淡路大震災で6437人、東日本大震災で15270人(行方不明・約8500人は含んでいません。含めたら3万5千人近くになります。)というふたつの国難が発生したことは大きいですが)。
愕然としました。
先ほどの反論をする人たちは、この数字を見ても「お前たちを儲けさせる防災事業なんか増やすもんか!」とでも言うのでしょうか?!
まして、諸外国が防災事業を含む公共投資をしっかりと行っていることで、経済成長しているという「事実」も見れば、社会資本整備の重要性・必要性は明らかです。もちろん、それ以外にも防衛や食糧安全保障や教育や技術研究等の投資も必要です。ちなみに「社会保障や教育無償化に消費税増税が必要」という話も、???(疑問符)三つですが、機会があればまた書きます。

私たち建設関連業者にちゃんと仕事をさせてもらえれば、こんなことにはなっていないはずです。(小声で)「当社が仕事できるか、儲けられるかはどうでもいいです!」。

話が逸れましたが、災害が多発している今、需要不足でデフレ状況の今、オカネの問題など特にないのですから、必要なところにちゃんと投資をする、令和の時代はそうなってほしいものです。

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